今回は新色マルチケースの作製工程をご紹介していきます。
マルチケースは母子手帳・お薬手帳・パスポートなど、さまざまな用途にお使い頂けるような仕様にした、カード収納付きのレザーケースです。
使用する革はコバ磨きに適していると言われる、「タンニン鞣しのヌメ革」です。
実際に使用している革のハギレをメルカリで販売しております。
安価に一度試してみたい!という方は下記画像のリンク先にてご覧ください。
※タイミングによっては該当の革が売り切れている場合もあります。
出品ができていない在庫がある場合は新規出品することも可能ですので是非お問合せください。
道具
型紙転写
普段マルチケースの作成に使用している型紙を流用していきます。
革をけがく時は丸ぎりを使用。
型紙に書かれている2枚というのはこの型で2枚切り出すという意味です(^^;)
何枚パーツが必要かとか、作成手順などをよく忘れてしまうのでメモがわりに型紙に色々書き込んでます。
隣り合うパーツは色むらが出ない様にできる限り近い位置で切り出すようにしています!
トコ処理
トコ処理剤には水に溶解したCMCを使用。
今回使用したものは若干水分が多かったです(^^;)
水が多すぎると革が反り返ってしまうことがあるのでお気をつけください。
CMC溶解液は水分が多めで柔らかいテクスチャーをしているため、筆で簡単に伸ばすことができます。
粗断ち
私は菱目打ちをハンドプレス機で行っているため、粗断ちをしてあまり奥行きがないパーツに切り分ける様にしています。
ハンマーで菱目打ち等をする場合はあまり必要のない工程かもしれません。
かなり細かく切ってます。笑
菱目打ち・コーナー抜き・最終整形
各パーツの菱目打ちはこの段階で全て行ってしまいます。
ハンドプレス機はマンションでの作業をしている私には必須のアイテムです(^^;)
最近使い込みすぎて駆動部位の動きが悪くなってきました•••。
コーナー部分の目打ちは1本目打ちで開けることで微妙に角度をつけています。
その角はコーナー型で抜いてしまいます。
コーナー型抜きを使用することで裁断効率が良くなるし、曲線の形も均一で裁断面が綺麗なのでコバ磨きしやすくなるし•••とメリットが多い様に感じます。
こんな感じで他のパーツも目打ち、コーナー抜きの処理を施していきます。
細かいデザイン部分のカットはデザインナイフで処理しています。
この曲線部分のデザインが私の作品の特徴になりつつあります。笑
整形終わりです。
パーツ内側部分(1.2mm厚革)のコバ磨き
裁断しただけのコバは表面がざらざらしており、見た目も粗雑なため磨く必要があります。
この段階では製品内側部分の後々磨くことが難しい部分のコバを磨いていきます。
磨き方の流れは•••
- CMC塗布
- 布磨き
- トコ面側のヘリ落とし
- ラベル#400やすりでの磨き
- ラベルCMC塗布
- ラベル布磨き
となります。
基本的に内側に使用する革は1.2mm厚のものを使用しており、それ以外のより厚みのある革の場合は工程が少し変わってきます。
コバ処理完了しましたが•••若干ピントのずれた写真に仕上がっておりました•••(^^;)
接着
縫製前に各パーツを縫い合わせる形に張り合わせていきます。
使用する接着剤は酢酸ビニル系の革用ボンドです。
私はセイワの皮革用ボンドエースをメインに使用しています。
しっかりと接着させられるようにトコ面の接着部位を荒らし、
銀面側も同様に荒らしておきます。
この銀面を荒らす際、接着部分以外も削ってしまって作り直ししたことは1度や2度ではありません•••(>_<)
ボンドエースの塗布は小さなヘラを使うと便利です!
結構早めに乾いてしまうので間をおかずに接着させるのがポイントです!
乾くまでクリップなどで固定しておくと接着力がより強力になります。
このサイズのクリップはいくつあっても足りないです。
先ほど貼り合わせたパーツを今度は表革に貼り合わせていきます。
写真ではボンドがかなりはみ出してしまっていますが、後々豆カンナで削ぎ落としていくので私はあまり気にしていません。笑
また今度ご紹介しようと思うのですが、この固定しているクリップ、ヌメ革を内側に貼り付けているのでクリップ本来の使い勝手はそのままに革を傷つけない仕様となっており、かなり便利です。
乾くまで待ったら
とりあえず片側の張り合わせが完了です。
縫製
前編では片側の縫製までのご紹介をしていきます。
もう少しで終わります(^^;)
ボンドが固まって穴を塞いでいると針の通りがあまり良くなく、革を痛めてしまうことがあるため、縫い始める前に丸切りで穴をしっかり広げておきます。
接着の端部分は一番摩耗が激しい部分になるので、縫い始めと
縫い終わり部分は二重にして強度を増しています。
綺麗に縫えました(^^)
縫い終わり部分はボンドエースを塗布して糸同士を接着させ、
カットします。
糸の焼き留めには釣り糸のラインカッターを使ってます。
私が購入したときはAmazonで900円くらいだったのですが、最近値上がりしてました•••
結構便利です。
縫製完成
片側だけですが縫製完了です。
表側
内側
この段階ではコバは全く処理をしていないので表面はかなり粗い状態です。
後編で全ての縫製が終わったらケース周囲の木端を仕上げていきます。
まとめ
今回はマルチケース新色作成の前編ということで途中までですがご紹介させて頂きました。
次回は逆サイドのカード収納部分の作成と最終仕上げについてご紹介していきます。
工程が多く、かなり長い記事になってしまいましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!
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