こちらの記事はこれからレザークラフトを始めたい方に向けた内容となります。
※レザークラフトはミシンでも出来ますが、今回は手縫いに焦点を当てております。
「始める前に最低限揃えておくべき工具」を13品、「作品のクオリティを向上させるための工具」5品を私が使用した経験を元にご紹介していきます。
最低限必要な工具
1.菱目打ち
縫い穴をあける道具です。
革に刃をあてて木槌などで叩いて革に押し込み、縫製するための菱型の穴を空ける工具です。
最初は刃の本数や刃の幅の種類、表記方法がメーカー毎にまちまちで分かりづらいかもしれません。
例えば
「クラフト社製 巾2.5mm」は穴間隔が「5mm」
「協進エル製 巾5mm」 は穴間隔が「5mm」
となります。
一目でメーカー、サイズが判別できるよう、下記記事で菱目打ちのサイズをメーカー毎にまとめてみました。
※2023年10月にSEIWAが閉業したため、現在クラフト社と協進エルの2社のみ購入が可能となっております。
今回はクラフト社製、巾2.0mm(穴間隔4mm)規格の菱目打ち、1、2、4本目打のリンクを載せておきます。
- 4本菱目
- 2本菱目
- 1本菱目
2.ハンマー
菱目打ちなどを打つことができればどんなハンマーでも大丈夫です。
※重さはある程度ある方が打ち付けやすいかもしれません。
私は最初100均の木槌を使っていましたが•••
打音が大きすぎるのと重みが足りないためか上手く打ち込むことができませんでした。
そのため画像のラウンドモールタイプに買い替えてみたところ、かなり安定した使い心地でした。
現在は打音が気になるのでハンマーの代わりにハンドプレス機を使っています。
ハンドプレス機はほとんど打音がしないため、夜間の作業や近所への配慮を考える場合はとてもおすすめです。
協進エルのハンドプレス機はマルチタップを装着することで工具を付け替えることなく作業することができるのでかなり使い勝手が良いです。
少々値が張るのがネックかもしれませんが•••
騒音対策グッズとしてはコスパは高いです。
工具は使用環境によって色々使い分けをしてみてください。
- ラウンドモウル
- 木槌
価格は木槌が格段に安いです。
3.ゴム版
菱目打ちで穴をあけるときに下敷きとして使用します。
大きさは作業スペースによってご選択ください。
私は「横23㎝×縦20㎝×厚2㎝」の物を購入しましたが大きさは十分かなと思います。
厚みは2㎝程度あると安心かもしれません。
4.カッター
厚い革などを切る場合もあるので少し大きめのグリップ力のあるものが使いやすいです。
私は近所の文具店で購入しました。
このカッター、使いやすいです。
替え刃も
※2024年4月1日追記
「黒刀の替え刃の切れ味がすごく良い」と、近所のレザクラ用品店の師匠にお聞きして使ってますが、めちゃくちゃ切れ味いいです。おすすめです。
手早く革を直線に断つ時には「革包丁」か「別たち」も便利です。
慣れが必要かもしれませんが、刃先が平たくなっているので定規を使用しなくても真っ直ぐ断つことができます。
革包丁は切れ味が極端に悪くなった場合には研ぎ石で研がなければならないのが少しデメリットに感じますが、基本的には青棒があれば切れ味は戻ります。
別たちは替え刃を付け替えるだけで切れ味復活です。
詳しくは下記の記事でもご紹介をしております。
- 別たち
- 革包丁
革包丁を使用する場合、青棒は必須です。
革包丁の切れ味が青棒でも復活しづらくなってきたら砥石の出番です。
中砥ぎと仕上げ砥ぎ用に両面使えるコンビ砥ぎ石が便利です。
5.カッターマット
カッターマットはあまり硬くない素材の物が革に傷がつかなくてよいかもしれません。
私が以前使っていたマットは硬い素材で、カット傷が盛り上がり、革の銀面を傷つけてしまう原因になることもありました。
個人的にはビニプライが使いやすいです。
6.糸
麻糸、シニュー糸、ポリエステル糸など多くの種類の糸がありますが、個人的にはポリエステル糸の「ビニモMBT」がおすすめです。
ビニモMBTはミシン用の糸ですが手縫い用としても活躍します。
ボンドで加工して撚った糸が施されており、ロウ引きをしなくても糸がほつれにくく、綺麗な縫い目に仕上がります。
糸の太さは00、0、1、5、8、20と6種類用されており、1番か5番が手縫いに適した太さかな、と思います。
私は普段から1番を使用しています。
糸の長さは60m程度から販売されており、使用頻度によって購入する規格を選定できます。
実際の糸色を確認してから購入したい場合はサンプル帳も販売されています。
ビニモMBTについては下記記事でもご紹介しております。
7.針
レザークラフトの手縫い用の針。
先端が丸くなっており、目打ちした穴に通しやすくなっています。
個人的にはあまり長すぎないものの方が扱いやすいかなと思います。
あと、細いものの方が針を穴に通しやすいです。
8.ネジ捻
革の端から任意の幅で目打ち用の跡をつける道具です。
ネジを回すことで捻の幅を微調整することが可能。
幅を3mm程度にして捻引きするとバランスの良いステッチになるかなと思います。
9.接着剤と塗布用ヘラ
酢酸ビニル系の接着剤で、乾くと透明になります。
※2023年10月にSEIWAが閉業したとのことで、写真はSEIWAの比較用ボンドエースを載せておりますがリンクには協進エルの皮革用ボンドを掲載しております。
乾くのに少し時間がかかるのがデメリット。
しかし乾いた時の硬化具合が比較的硬く、コバを磨く際の削りが容易なので愛用しています。
塗るにはヘラを使用。
長さが12㎝くらいのヘラを使ってますが使いやすいです。
貼り合わせの際に使用する自作クリップのご紹介記事も書いてみました。
他にはゴムのりを使用される方も多いです。
ファスナーを仮留めする際に大活躍してくれます。
10.コバ・床面磨き剤
タンニン鞣し革のコバ・床面の毛羽立ちを押さえる粉末状の磨き剤です。
他のコバ・床面磨き剤に比べて圧倒的にコスパがいいです。
CMC3gに水か湯200ccを加え、半日放置して完全に溶解させて使用します。
※溶解用のボトルを別途用意する必要があります。
少し価格は上がりますが、トコプロもおすすめです。
CMCよりも床面処理時の発色が良くなる気がします。
使用感は個人差があるので使用する革によって使い分けるのが良いかもしれません。
※クロム革にはトコプロがお勧めです。
トコ面の処理方法については下記記事でもご紹介しています。
コバ磨きの際はスポンジヘッドボトルに詰めて使うとすごく便利です!
写真はバスコのから容器を代用していますが、売っているところが少ないので•••代替品はこちら。
スポンジヘッドの替えも。
11.コバ磨き帆布はんぷ
使っていないTシャツなど柔らかい素材の布で代用することもできます。
こちらの帆布は少し目が粗いので磨きに掛かる時間が若干短縮されるのかな?と思います。
レザークラフトを始めてすぐは要らないTシャツなどの布で磨き、物足りないなと思った時に購入を検討してもいいかもしれません。
帆布を使い込んで「育てる」と処理剤がしっかりと繊維に染み込み、コバが磨きやすくなっていきます。
12.丸ギリ
罫書きや穴あけに使用します。
私は革の張り合わせ後に縫製しやすくなるよう、穴通しをするために使うことも多いです。
持ち手は太く、おしりが丸みを帯びたものがおすすめ。
13.定規
定規にこだわりはいらないかもしれませんが…
カッターなどで定規を使って直線に革や厚紙を裁つ時に定規が痛まないよう、金属製の物を使用することをお勧めします。
レザークラフト用品店などでは写真のL字型の金属定規が売られていることが多いかなと思います。
30cm程度あれば小物作成には十分です。
クオリティを上げる道具 5選
ここからはレザークラフトに必須の道具ではなく、「あると仕上がりが奇麗になる」道具のご紹介になります。
まずは先に記載した道具で作製をしてみて、「もっとクオリティの高いものを作りたい!」と思ったら以下の工具を追加で購入検討すると良いかもしれません。
14.ヘリ落とし
革のコバの角を”面取り”する道具です。
色々なメーカーが出していますが、まずは安価なものでどのように加工することができるか試してみることをお勧めします!
番手が大きくなるほどコバの角を深く切り落とすことができます。
おすすめは万能と言われる「2番」です。
私は比較的硬めの革を使用して作成をしているのでSINCEの「0番」を使用しておりますが、柔らかめの革など、様々な革質に対応するには少し大きめの番手が必要になることもあります。
SINCEの工具は切れ味がすごくいいですが、少々値段が高いのが難点。
でも必要だなと思われた方は買って間違いはありません!
15.紙ヤスリ
コバをより滑らかに仕上げるために使用します。
ヘリ落としで面取りした後のコバの角にやすり掛けをすると奇麗な曲線のコバに仕上げることができます。
私は240番と400番の2種類の紙やすりを使用しています。
- 240番
- 400番
おすすめのやすりとその使い方についてはこちら
コバの磨き方についてもご紹介しております。
16.ウッドスリッカー
コバの仕上げに使用します。
コバ処理剤を塗布した後、ウッドスリッカーで擦ることで凹凸をできる限り減らし、コバを滑らかにすることができます。
コバを固めることでヘリ落としやヤスリがけなどの加工がしやすくなるメリットもあります。
17.ガラス板
床面にトコ処理剤を塗布した後にガラス板で擦って滑らかにします。
布で代用することも可能です。
斜め漉きをする際の土台に使ったりすることもできますが、”余裕があれば買っておくと便利”な道具です。
色々な場面で応用が効くので一応買っておくのもありかなと思います。
18.コーナー抜き
革の角を丸みを帯びた状態で切り出す工具です。
写真のコーナー抜きはカーブがR1のもの。
基本的になくても革包丁やデザインナイフで切り出せますが、あると作業効率はかなり向上します。
型紙の作製にも使用することができ、必須ではないですが私は多用する道具なのでご紹介させて頂きました。
まとめ
今回はレザークラフトを始める際に揃えておいた方が良い道具を紹介しました。
他にもレザクラにはたくさんの道具がありますが、慣れてきて必要だな、と思った道具を徐々に買い足していくと良いかもしれません。
作るモノに合わせてどんな道具が必要か、今後作品別にご紹介していこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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