こちらでは私が使用している㈱山陽の”本ヌメ革”についてご紹介しております。
㈱山陽とは
1911年創業の兵庫県姫路市に所在する、歴史あるタンナーです。
「植物タンニン鞣し」をはじめ「クロム鞣し」や、国内では山陽が唯一製造している「白鞣し」と呼ばれる古い歴史を持つ日本独特の革の製造も手掛けています。
近年では2017年にアジア最大級の国際皮革見本市で「Best of APLF Awards 2017」を受賞するなど、世界的に高い評価を受ける革を製造しています。
(株)山陽の植物タンニン鞣なめし
植物タンニン鞣しとは自然の植物の樹皮などから採取できる「タンニンを主成分にした鞣剤」を使った鞣し製法のことを指します。
植物タンニン鞣しは使い込むことで革が柔らかくなり色艶が増してくるので自分で革製品を育てる楽しみを味わうことができます。
また、植物性の材料を使用しているので環境にも人にも優しいのが特徴です。
※私が使用している山陽の革はすべて植物タンニン鞣しです。
山陽では2006年に「ピット槽でのタンニン鞣し」による革の本格的な生産を開始。
※「ピット槽」とは革を鞣す際に溶液へ漬け込むためのプールのような設備です。
槽の中にブラジル産ミモザを用い、その中に革を1か月漬け込むことでじっくり時間をかけて革をなめしていきます。
手間と時間がかかる手法ですが、しっかりとした厚みがあり伸びの少ない硬い革に鞣すことができます。
ピット槽でのタンニン鞣しで製造した革は繊維が密になっており、堅くてコシがあるのが特徴です。
手帳カバーや財布を実際に自分用に作って使用しているのですが1年経っても伸びたりヘタったりする様子がありません。
エイジングを楽しむために”永く使う革”としておすすめの革です。
100 BASIC
山陽では「100BASIC」という、100種類の異なった仕上げ方法による革をサンプル化する取り組みもしています。
これを見て、仕上げ方でこんなにも革の表情が変わるのか…と衝撃を受けたのを覚えています。
革KAGIで使用しているのは下記2種。
※革の種類は「100BASIC」のサンプル番号をもとに記載しております。
A-6:銀付きスムース/ヘビーオイルプルアップ
キャメル、ネイビー、ブラウン、レッド、グリーンはこちらのオイルレザーを使用しています。
コシがあり、オイルを多分に含んでいるためしっとりとした手触りが特徴で、使用する内に摩擦で革に含まれた油分が浮き出て艶が増していきます。
【2024年1月より】
品質均一化のため、こちらのオイルレザーの銀面に水溶性の仕上げ剤を塗布した、「コッティオイルレザー」という種類の革に変更しております。
従来の革と比べると銀面の艶感が増している点が大きな違いですが、経年変化はこれまでと同様にお楽しみいただけます。
コバを磨いた際の仕上がりも従来と同じでとても綺麗です。
※「コッティ」シリーズは「100BASIC」とは別で特別に製造してもらっている革となります。
A-10:銀付きスムース/ホワイトWAXブライドル
ブラックはこちらのブライドルレザーを使用。
ブライドルレザーの特徴はなんと言っても革の表面を覆っているブルーム(白いワックスの粉)です。
表面のワックスが摩擦で刷り込まれることで強い光沢を帯びていきます。
柔らかいブラシや布などで軽く払う事でエイジングを早めることも可能です。
※傷の原因となるので強く擦らないようにお気をつけください。
【番外】絹革(KINU-KAWA)
革KAGIの商品には使用していないのですが、山陽では”絹革”という革も製造しています。
名前の通り絹のような真っ白な革です。
実物を触ったことがないのですが、なんだかふわふわしてそうな印象の革です。
革を風呂敷のように包めるのは革新的です。
山陽の本ヌメ革を実際に使った感想
革KAGIで販売している製品は全て山陽の本ヌメ革を使用しています。
実際に使ってみての感想は、革の堅牢さから生まれる丈夫さもそうですが、”コバ(革の端)がとにかく綺麗に磨ける”です。
革KAGIでは基本的にコバの処理は着色をしません。
着色部分の塗料剥がれによる劣化を防止し、コバのエイジングも楽しんで頂きたいためです。
革製品の細部にまでこだわることのできる”革質”が山陽レザーの特徴です。
まとめ
今回は㈱山陽と製造されている革についてご紹介しました。
最近、商品をご購入頂いたお客様から「山陽レザーは初めて知ったが質感がすごくいい」、「姫路産のレザーはクロム鞣しの物が多いイメージがあった」などの声を頂くことが多く、少しでも山陽レザーについて知って頂ければと思い記事にしてみました。
是非、山陽レザーの製品をお試しいただけると嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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