「床面(トコ面)の処理」とは床面磨き剤を使用して革の裏側の毛羽立ちを抑え、艶のある状態に仕上げることをいいます。
今回は床面を処理する際に必要な道具と方法について、私が実際に使用している道具と共にご紹介していきます。
材料・道具
床面磨き剤
色々な種類がありますが、今回は私がメインで使用している2種類をピックアップしています。
CMC

粉状の磨き剤です。
透明で臭いがないのが特徴。
●使用方法
CMC3gに水かお湯200ccを加えて半日程度放置して溶解させます。
※溶解させる時に200cc程度の容器が別途必要です。
70g入りで高くても800円弱なのでコスパがとてもいいです。
全て溶解させると4.5kg程度の磨き剤として使用できます。
若干、水分が多くなってしまう傾向にあるため、革が乾くのに時間がかかります。
薄い革だと床面が縮まって丸まってしまうこともあるので塗布量にはご注意ください。
少し水っぽいなと思った場合は溶解時の水分量を減らしてみてもいいかもしれません。

トコプロ

乳白色の磨き剤です。
タンニン鞣し革だけでなくクロム鞣しにも使用できるのが特徴。
乾燥すると無色透明になります。
CMCに比べて若干程度独特の匂いがあります。
●使用方法
CMCと違い、そのまま使用可能です。
適量を塗布し、ガラス板やヘラなどで伸ばします。
少し乾いた状態で布で磨くと艶を出すこともできます。

トコプロを使用する際にあると便利なもの

100均のドレッシングボトルです。
床面に容器からトコプロを適量出すのがすごく手間だったので、良いものないかなと探していたら100均で見つけました。
キャップをすればそのまま保存もできますし、下の写真のようにスポイトのように吸えるので容器の移し替えも簡単です!

工具
ヘラ

CMCやトコプロを塗り広げるときに使用します。
ヘラ先が少し幅広いものを使用すると使いやすいかもしれません。


筆

主にCMCを塗り広げる際に使用します。
水に溶解したCMCは水分量が多いためヘラよりも筆で塗り広げる方が効率がいいような気がします。
もちろんヘラでもできる為、”あればいいかな”くらいです。

ガラス板

ヘラや筆同様、磨き剤を塗り広げるために使用しますが、塗り広げた後に表面を擦って艶を出すためにも使用することができます。
ガラス板は床面を磨く以外にもヘリの斜め漉きの際に土台にしたり、ちょっとした重しにも使えたりするので1個はあってもいいかなと思います。
あまり大きくないものが使いやすいです。

乾拭き用の布
磨き剤を塗り広げた後に乾拭きをするために使用します。
なるべく柔らかい布か帆布のようなコバなどを磨く専用の布がいいかもしれません。

CMCとトコプロの使い分け
まず、どちらも同じ磨き剤なので、こだわりがなければ特に使い分けを意識する必要はないです。
なので、これは完全に”私の個人的な意見”であることを前置きしておきます。
CMC
トコプロと比較すると、
- 乾拭き後の艶感が弱い
- 水分量が多いため乾燥後に革が少し丸まってしまう
この2点が気になることがあるので、作品を使用する際は表に露出しない部分に使用しています。
※水分量に関してはCMC溶液調整時の水の量を増減させることでお好みの粘土に調整することも可能です。
トコプロ
下の画像のブックカバーのような、床面が表に露出する部分が多い場合はトコプロを使用するようにしています。

床面を磨いても時間がたつとどうしても毛羽立ちが目立ってきてしまうのですが、CMCに比べてトコプロの方が艶のある床面を維持することのできる期間は長いような気がします。
また、クロム革はトコプロを使用することを推奨します。
まとめ
トコ磨き剤には今回ご紹介した2品以外にもいろいろあるので、今回ご紹介したものがあまり合わないな、と思った場合は他の製品を試してみるといいかもしれません。
これから始められる方はCMCを使用してみるのが、コスパも優れているのでお勧めです!
今回使用した革はメルカリにて革ハギレとして販売もしております。
ご興味のある方は是非ご覧ください!

最後までお読みいただきありがとうございました!
コメント
床処理剤を革に塗る筆はこのようなホビー筆の毛足を半分以下(2cm弱)にバッサリ切ったものが使い易いですよ。
切るときは革包丁でもいけますが刃こぼれしたら勿体ないのでオルファの別たちがベスト。毛が広がらないように指でまとめといて一気にザックリやります。
こうして作った筆は使用後も逐一洗わなくても布で拭うくらいでずっと使えるし便利してます。
https://www.youtube.com/watch?v=WqITQcpIKL4
なるほど!確かに筆の毛足が長すぎて扱いづらいなと思ってたんですよね…(^^;)
丁度使ってない別たちが居るので一度試してみます!!!