銀面とは?22種類の銀面の特徴|革の雑学

革の雑学
ステアハイド(牛)
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銀面とは

銀面ぎんめんとは革の表面のこと。
革の製革工程で毛及び表皮ひょうひを除去した真皮しんぴの表面部分のことを指します。

銀面の特徴は「革の加工法」や「動物の生育年齢」、「動物の種類」によって多岐にわたります。

今回は前半で「革の加工法」や「動物の生育年齢」による銀面の特徴の違いを、後半では「動物の種類」の違いによる銀面の特徴をご紹介していきます。

銀面の由来

「銀面」という用語は明治以前の資料では認められず、明治36年の学術誌で「銀面」、「銀」が初めて確認できます。
その由来は諸説ありますが、明治時代、近代的な革の鞣しの技術を習得するために外国から技術者を招聘した際、当時の技術者達は革の表面のことを「Grain(グレイン)」と呼んでいました。
当時の日本人には「ギン」と聞こえたところから、銀・銀面と呼ばれるようになったのではないかと推測されます。

牛革の銀面の特徴

生育年齢による銀面の特徴

牛革は牛の生育年齢・性別によってカーフ、キップ、カウ、ステア、ブルなどに区別され、その銀面の特徴は大きく異なります。

カーフスキン

生後6か月程度の仔牛の革で繊維構造が細かく、銀面がとても美しく、手触りも心地良いです。
生後間もないことから銀面の傷も少ない最上級の素材となります。

キップスキン

生後6か月から2年くらいの若牛の革でカーフスキンに次いで肌触りが良く、美しい銀面をもっています。

カウハイド

生後2年以上(成牛)の出産経験のある雌牛の革で雄牛よりも薄く柔らかい特徴がある革です。
出産経験があるため腹部の繊維が伸びていることが多く、ベリー部分の銀面の美しさはランクが落ちてしまいますが、きめの細かい繊細さのある特徴を有しています。

ステアハイド

生後3か月から6か月以内に去勢され、2年以上経った(成牛)雄の革です。
去勢されていることから雄牛本来の気性の荒さがなく、怪我も少ないことから銀面の傷は比較的少ないです。
世界的に最も流通量の多い種類となります。

ブルハイド

生後3年以上(成牛)の去勢されていない雄牛の革です。
去勢されていない種牛は気性が荒く、銀面には喧嘩による傷が多く見られることも特徴です。

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加工による銀面の特徴

牛革は鞣し工程後の加工方法を変えることにより、100種類以上の異なった銀面を作り出すことができます。加工による銀面の変化を一部ご紹介します。

※今回紹介する銀面の写真は全て「下地にキャメルの染料を染み込ませた、植物タンニン鞣しのヌメ革」を加工した「本革」です。

銀つき×素上げ

鞣し上がりの生成きなり革に染色加脂かしを施してあります。
銀面加工がほとんどされていない「ただ鞣しただけ」の生成り革に近いです。

銀面表面に物理的加工を施さず、着色も顔料ではなく染料を使用。
革本来のエイジングが楽しめる銀面を持った仕上げ方法かなと思います。

銀つき×ヘビーオイルプルアップ

鞣し上がりの生成り革に染色加脂を施し、オイルを2度染み込ませたオイル増し増しの仕上げ方法です。

オイルを多量に含んでいるため、先にご紹介した「銀つき×素上げ」よりもキャメル色が濃くなっています。
オイルレザーの特徴に「プルアップ」という現象があり、引っ張ると銀面のオイルが移動して色が変化します。

銀つき×ホワイトWAX

鞣し上がりの生成り革に染色加脂を施し、ロウを重ねて塗り込んだ「ブライドルレザー」と呼ばれる川に施す仕上げです。

ブライドルレザーの特徴はなんと言っても銀面を覆い尽くす白いブルーム。
ワックス成分が粉となって銀面表面に付着することでブライドルレザー独特の表情を見せます。
このワックスの粉(ブルーム)は経年変化で銀面に刷り込まれ、光沢に変わっていきます。

銀すり×オイル

銀面をサンドペーパーなどで削った(バフィングした)革をオイル加工して仕上げた革です。

生来の傷や損傷が目立たなくなり、銀面の質が均一になるため歩留が良いです。
オイル加工をすることでしっとりとした触感の銀面に仕上げられます。

銀すり×アンティーク素上げ

表面をバフィングした革の表面に、プリントローラーで染料ムラをつけて仕上げてあります。

アンティーク仕上げは革の銀綿に布切れ、タンポン(綿などを布でくるんだパッド)などを用い、染料液を不規則な模様に塗布し、古風な雰囲気を付与する仕上げです。

銀つき本シュリンク×素上げ

鞣す前に薬品で収縮させ、抜けにくいシボを出す加工をした素揚げの革です。
シボの目の大きさは革の部位によってその特徴は大きく異なります。

★「ショルダー」と呼ばれる首から肩までの部分は、線維が粗く、大きく深いシボとなる。
★「バット」という背中から腰にかけての部分は、もっとも線維が密で肌目細かく、シボも細かく粒の揃ったものに。
★「ベリー」と呼ばれる腹から足までの部分は最も線維が緩く、大小まちまちで立体感のある個性的なシボができる。

銀つき本シュリンク×オイル

シボの特徴は「銀つき本シュリンク×素上げ」と同じですが、それにオイルを加えてしっとりとした銀面に仕上げた加工です。

オイルレザー特有のプルアップと相まって経年変化で銀面は様々な表情に変化します。

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その他の動物革の銀面

銀面は毛穴の大きさ・形状・毛穴間の形状などで動物の種類によって様々な特徴の違いがあります。

ワニ革

クロコダイルレザーの特徴として、「」と呼ばれる模様があります。
斑は鱗に起因した模様であり、首からお尻までの斑が何列あるかによって分類され、斑が細かく小さいスモールクロコダイル(イリエワニ)が一番高価なものとされています。
斑は四角いものを「竹斑たけふ」、丸いものを「丸斑まるふ玉斑たまふ」と呼びます。

ヘビ革

ヘビ革の最大の特徴はなんと言ってもその鱗模様です。
ヘビの鱗はダイヤモンド形や六角形などの形状で配置されており、その形や大きさは個体や種、体の部位によって異なります。
鱗模様は革の表面に少し浮き出しており耐久性が心配になりますが、型押しで作ったヘビ革風の革では真似できない、本物のヘビ革の銀面は一見の価値有りです。

トカゲ革

トカゲ革の特徴は細かくて粒の揃った独特の体鱗の形状です。
ヘビ革の代表格であるパイソンの革とは異なり、基本的に鱗の大きさに差がなく、使用する銀面の場所を選ばず使用することができるのが魅力かなと思います。

オーストリッチ

ダチョウの革であるオーストリッチは、銀面に羽毛を抜いた後の丸みのある突起した軸痕(クイルマーク)が他の革にはない特徴として見られます。
胴体部分の革を「オーストリッチ」、足部部の革を「オーストレッグ」と呼びます。

オーストリッチ革の最大の特徴であるクイルマークがある部位は意外と限られています。
しっかりとしたクイルマークを多く含むことによって、価値が大きく上がることになります。

オーストレッグ

オーストレッグはワニなど爬虫類の革にも見られるようなウロコ模様が見られるのが特徴の「ダチョウの足」の革です。

ダチョウには手がありません。
足で走り、足で喧嘩もすることから、キズが多い部位となります。

サメ革

サメ革は頭部から尾部にかけて、細かい連続した網目状に凹凸がある特徴があります。
大型のサメになればなるほど網目上の模様は大きくなっていきます。

ゾウ革

革としての特徴は、厚く丈夫です。
革の表面は、鼻、耳、ボディ、それぞれの部位に特有の大きなヒダ、シワがあり、細かい粒状に隆起した銀面は、像のみが持つ稀有な表情を有しています。
革の仕上げは光沢があるもの、マット仕上げのものがあります。

ジャクルシー

ジャクルシーはトカゲの一種である、カイマントカゲの革です。

頭部から背部にかけて、特徴のある楕円形の背鱗板が、ワニの背部のように並んでおり、一般的なトカゲの革とは銀面の模様は異なります。
ワニの1種であるカイマンに似ていることから「カイマントカゲ」と呼ばれるようです。

カエル革

カエルも革になります。
銀面はカエルの種類により、その特徴は大きく異なります。
それぞれの種特有のイボが他の革にはない銀面の豊かな表情を形作っています。
革一枚はそこまで大きくなく、歩留ぶどまりが悪いので上級者向けの革かもしれません。

シールスキン

アザラシやオットセイの革。
革の表面の特徴は頭部から尾部に向けて独特の波状のウネ模様があり、キッド(生後1年未満の山羊革)に似ています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
一般的に広く使われている牛の革一つとっても、加工方法を少し変えるだけで革の銀面の表情は大きく変化します。
お気に入りの革を探す一助にしていただけると嬉しいです。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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