”皮”をなめして”革”にする仕事をしている人達のことをタンナーと呼びます。
※皮革製造業者と呼ばれることもあります。
タンナー(皮革製造業者)は関東~近畿地方にかけて点在しています。
特に水路として使用されていた豊富な水資源のある兵庫県姫路市には200以上の工場が集まっています。
今回はタンナーの方達の作業工程に触れつつ、”皮”が”革”になるまでの流れをご紹介していきます。
鞣しの工程
動物の”皮”を”革”にする鞣し。
鞣される皮は牛、豚、馬、山羊、羊の他に爬虫類や両生類の皮など…多岐にわたります。
鞣しに使われる皮は豚皮を除き、米国を中心に諸外国から輸入されることが多いです。
通常、腐敗を防ぐため塩漬け・乾燥・判鞣しの処理をして輸入され加工されます。
輸入された皮がどのように革になるのか見ていきましょう。
革ができるまで
- 水漬け
皮に付いた血液や汚物を取り除くと共に、塩漬け皮の塩分を落とすことで生皮に近い状態に戻す。
- 裏打ち
裏打ち機(フレッシングマシン)と呼ばれる機械を使って、皮の裏面についている肉片や脂肪などを取り除く。
- 脱毛・石灰漬け
強アルカリ性の溶液に皮を浸すことで皮を膨潤させ、コラーゲン繊維をほぐすとともに、毛・脂肪・表皮層を分解して取り除く。
- 分割
分割機で皮の厚みを用途に合わせて表面(銀面)と裏面(肉面)に分割。
裏面は皮革素材のほかに医療用コラーゲンなどに利用されることもある。 - 垢出し
垢出し機(スカッティングマシン)に皮をかけ、「脱毛・石灰漬け」で取り切れなかった皮の内部の毛根などを取り除いて表面を奇麗に。
- 再石灰漬け
石灰乳にもう一度漬けて革のコラーゲン繊維をさらにほぐし、柔らかくする。
- 脱灰・酵解
脱毛・石灰漬け、再石灰漬けで皮中に残存した石灰を取り除く。
酵解とは、タンパク分解酵素により不要なたんぱく質を分解・除去し、銀面を滑らかにすること。
- 浸酸
鞣し処理に使う薬品は酸性条件下でないと溶けない。
そのため鞣し工程に先立って皮を酸性溶液中に浸漬し、鞣し剤の吸収に適する状態にする。 - クロム鞣し
クロムなめし剤(3価)を革に浸透させる。
- 水絞り
水絞り機によって革中の余分な水分を絞り出す。
この工程の前に牛や馬などサイズが大きい革を半裁に断つ、「背割り」の工程を入れることも。 - シェービング(裏削)
シェービングマシンで革の裏側を削り、革の用途に合わせた厚さに整える。
シェービングを終えた革は通称「うま」と呼ばれる革掛け台にシワにならないように掛けられる。 - 再鞣
革の用途に合わせた革を作るためにはクロム鞣しのみでは不十分。
合成鞣剤や植物タンニン剤を用いて用途に応じた特性を付与する。 - 中和
重炭酸ナトリウムなどのアルカリ性水溶液に革を浸し、なめし剤によって酸性に傾いていた革を中和させる。
- 染色・加脂
ドラムの中に染料を入れ、好みの色に染色する。
- 水絞り・伸ばし
水絞り木屋野橋気に革を通して圧力をかけて内部の水分を絞り出し、さらに均等に伸ばしていく。
作業を終えた革はシェービング同様「うま」に掛ける。 - 乾燥
革を棒にかけて自然乾燥させたり、熱風に充てるなどして皮を乾燥させる。
内部に含まれた染料や加脂罪がこの工程によって定着。 - 味入れ
革に適当な水分を与え、もみほぐしやすくする。
- ステーキング
水分を加えてもみほぐしたり、ステーキングマシンと呼ばれる機械にかけて振動を与えることで、革に柔軟性や弾力性を与える。
- 張り乾燥
革を鋼板の上にのせ、隅を持って数人がかりでピンと引っ張り、平らな状態にしたまま再び乾燥させる。
- 縁断ち
革の外回りの不必要な部分をカット。
外周部分はこれまでのなめし作業によって硬くなったり縮んでいることが多いが、革の用途によっては縁断ちをせずに残すことも。 - 銀磨り
スエードなどにする場合、バフィングマシンを用いてサンドペーパー掛けを行うことも。
銀むきされた革はブラッシングマシンにより除塵される。 - 塗装
外観の美しさを色とツヤで強調するとともに、革の耐久性を得るように塗装などで銀面を塗布する。
- 艶出・アイロン・型押
機械により表面をツヤ出し、またはアイロン掛けを行う。
必要によっては型押しまたは揉み作業をする場合も。 - 計量(秤入れ)
計量は最終形で行う。
計量機にかけて革面積を計量。 - 検査・出荷
まとめ
いかがでしたでしょうか。
革ができるまでの工程数…めちゃくちゃ多いです。
タンナーさん達が工夫を凝らし、日々このような作業をしてくれているおかげで革を使うことができていると思うと、より一層、丁寧なモノづくりをしなければいけないなと感じました。
実際に革を作った作品作りの工程も公開していけたらと考えております。
今後も是非ご覧いただけますと幸いです。
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