レザークラフトに適したファスナーの選び方
レザークラフトで作品を作る際、ファスナー選びは重要なポイントです。
ファスナーの種類やサイズ、対応する金具が異なるため、適切な選定が求められます。
私自身、メートル売りのファスナーと金具を別規格で購入してしまい、取り付けができずに再購入した経験があります。
そこで、今回はそのような経験をもとに、ファスナーのサイズや種類を分類してまとめました。
レザークラフト用品店で入手しやすいものを中心にピックアップしていますので、ぜひ参考にしてください。
ファスナーの主要メーカーと種類
ウェブで「ファスナー」と検索すると、最初に目にするのは「YKK」のファスナーではないでしょうか。
YKKのファスナーは多岐にわたり、レザークラフトでは比較的安価な「メタルファスナー(スタンダード)」と、高級ファスナーに分類される「エクセラ」の2種類が有名です。
YKKはレザークラフト用品店でも取り扱いが多いため、今回はこの2種類のファスナーについて、レザークラフトでおすすめのサイズと共にご紹介します。
ファスナー各部位の名称と役割
ファスナーを理解するために、各部位の名称とその役割を押さえておきましょう。

スライダー
ファスナーを開閉するときに、エレメント(務歯)をかみ合わせる役目をします。
用途やデザインに合わせて様々なタイプがあります。
エレメント(務歯むし)
ファスナーの中央部分で、左右のエレメントが噛み合うことで開閉機能を果たします。
テープ
エレメントの両側にある布部分で、革製品に縫い付ける際の縫製部分となります。
用途やデザインによって、さまざまな規格があります。
上止うわどめ(前止まえどめ)、下止したどめ
スライダーがエレメントから抜け落ちないよう、可動範囲を固定する役割を持つ部分です。
スライダー金具のみを購入する際は上止め金具と下止め金具がセットで販売されていることが多いです。

また、上止側のテープの端を「上耳」、下止側のテープの端を「下耳」と呼びます。
メタルファスナーとエクセラの特徴
メタルファスナー(スタンダード)

エレメントにアルミ合金や銅合金を使用したファスナーで取り扱い店舗も多く、比較的安価に入手可能です。金属の光沢が革製品とよくマッチします。
メタルファスナーの特徴はエレメントが左右非対称で、片側に向かってエレメント先端が出っ張っています。
エレメントの出っ張りが上耳側へ向くようにスライダー金具を取り付けることで、スムーズな開閉が可能です。
逆向きに取り付けると滑らかさが極端に失われるため、注意が必要です。

参考
画像に使用しているのは「YKK 金属ファスナー 5号 ニッケル DFW 50cm」。

エクセラ

エレメント一つ一つに入念な磨きをかけ、美しさと滑らかな手触りを追求した高級感漂うファスナーです。
エレメントはメタルファスナーに比べて重厚感があり、噛み合わせの隙間も狭く見えます。
また、先端の形状はメタルファスナーとは異なり、左右対称の形状をしています。

スライダー金具の取り付け向きは左右どちらでも問題なく、扱いやすさも特徴の一つです。
スライダー金具を2個使用して左右どちらにも開く「両開き」にする場合は、エクセラを使用する必要があります。

ただし、エクセラは高級感・汎用性があるだけあって価格が高く設定されています。
頻繁に使用すると材料費が高くなりがちなので、特別な作品を作る際に検討するのが良いかもしれません。

スライダー金具の違いと注意点
メタルファスナーとエクセラのスライダー金具は構造が異なっており、同じ号数のものでも互換性はありません。

わかりづらいですが、エレメントを挿入する部分の高さもメタルスライダー用金具の方が高くなっています。

スライダー金具を購入する際はファスナーの種類に合わせて購入する必要があり、材料を揃える上で一番間違いやすいポイントかなと思います。
私も間違えて購入して買い直したのは1度や2度ではないです•••。
ご注意ください!
レザークラフトでよく使われるファスナーのサイズ
ファスナーのサイズについてはメタルファスナーを例にご紹介していきます。
YKKのメタルファスナーはメーカーの公式カタログに3号〜10号まで、6種類の金具サイズがラインナップされていると記載があります。
その中でレザークラフトでよく使用されるのは3号、4号、5号。
作家毎、または作製する作品のデザインによって使用する種類は様々かもしれませんが、レザクラ用品を扱うショップでの取り扱いもほとんどがこの3種類。
もっと絞っている店舗は3号と5号のみの取り扱いとなる場合もあります。
ラウンドファスナーの長財布を例にすると、内側の小銭入れに使用するファスナーは「3号」。

外側のラウンド部分は「5号」を使用するとバランスがいいのかなと思います。

3号と5号の比較

※左が5号、右が3号です。


3号と5号の価格を楽天にて比較すると、5号の方が10cm長く、約100円程度高いようです。(※2024年5月時点)
ファスナー金具の互換性に注意
3号と5号では対応しているスライダー金具のサイズも異なります。
スライダー金具を別で購入する際には、必ずサイズと規格を確認しましょう!


また、「コイルファスナー用」の金具を取り扱っている店舗もありますが、これはメタルファスナーには使用できません。
誤って購入すると装着できないため、注意が必要です。
ファスナーは「調整できるパーツ」
ファスナーは、作りたい作品のサイズに合わせて長さを自由に調整することが可能です。
エレメントとテープ部分はメートル単位で購入し、スライダー金具は別売りで好みに合わせて選ぶことで、コストを抑えながらも自分仕様のパーツ構成ができます。
ただし、購入するパーツの規格を間違えてしまうと使用できません。
金具の種類が豊富なだけに、間違いが起こりやすいポイントでもあります。
ファスナーと金具は必ず「種類・サイズ」を確認した上で購入するようにしましょう。
まとめ|ファスナー選びは作品の仕上がりを左右する
ファスナーはレザークラフト作品にとって機能性とデザイン性の両面で大切なパーツです。
使いたいアイテムの用途に合わせて適切な種類・サイズを選ぶことが、満足のいく仕上がりへの第一歩です。
この記事ではメタルファスナーとエクセラ、そしてそれぞれのおすすめサイズについてご紹介しました。
スライダーとの組み合わせや取り付け向きにも注意して、ぜひファスナー選びの参考にしてください。
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