コバ処理(コバ磨き)とは?
コバ処理(コバ磨き)とは革の断面(コバ)を磨いて綺麗に仕上げる工程のことです。
磨き方は人それぞれで、使用する革の性質によっても手法はさまざま。
私は「できるだけ失敗を減らす」ために、工程数を少なくし、染色・塗装をせずに綺麗なコバを作る!をモットーに試行錯誤を重ねてきました。
今回は、コバ磨きに適していると言われる「タンニン鞣しのヌメ革」を使用し、「磨きのみ」で美しく仕上げる方法をご紹介していきます。
コバ磨きの基本と注意点
コバ磨きに適した革とは
クロム鞣しの革や柔らかい革、ベリーやネックなど繊維が緩みやすい部位を使用した場合、本記事で紹介する方法では綺麗に仕上げるのが難しい場合があります。
接着剤の選び方と仕上がりの違い
革の貼り合わせに使う接着剤は、「ゴムのり」よりも乾燥後に硬化し透明になる「皮革用ボンド」や「サイビノール」がおすすめ。より美しく仕上げることができます。
ヌメ革のハギレ購入について
コバ磨きの仕上がりは、革の質に大きく左右されます。
今回使用している革のハギレは、メルカリで販売中です。
「一度試してみたい!」という方は、下記画像リンクからご覧ください。

コバ磨きに必要な道具一覧
紙やすり(240番・400番)
使用するのは耐水ペーパーの240番と400番です。
・240番

・400番

やすりについては以下の記事でも詳しくご紹介しています
楽天で販売されている「ナラテック」さんの紙やすりはコスパが良く、私もいつも愛用しています。
ヘリ落とし(SINCE・クラフト社)
私は「SINCE 0番(刃幅0.7mm)」を使用中。
最初は道具選びに迷いましたが、ヘリ落としは仕上がりのクオリティに最も影響する工程だと感じ、少し高価でも思い切って購入しました。
切れ味は抜群。
→ 切れ味が良いとコバが潰れにくく、磨き上がりの美しさにも違いが出ている…気がしています。
(高い工具だからそう思ってるだけかもしれませんが笑)

刃先が細いのも扱いやすいポイントかなとは思います。

ちなみに以前は「クラフト社」の「ヘリ落としNo.2(刃幅1.0mm)」を使用していました。


これはこれで使いやすかったですが、私の作品にはもう少し刃先が細い方が合っていると感じて乗り換えました。
分厚い革にはNo.2の方が角度をつけやすく合っているかもしれません。
カンナ(黒豆カンナ)
「黒豆カンナ 平(18mm)」を使用しています。
正直、最初は「カンナって高いし難しそう…本当に必要?」と思っていたのですが、今ではなくてはならない道具に。


コバ処理だけでなく、トコ面を漉く際にも使えたりと意外と用途が多いことに気づきました。
「平」は直線に適したタイプ。内カーブが多い作品には「反」というタイプもあるようです。
私は平のみ所持中。反タイプもいつか購入してみたい…。

切れ味が落ちたら青棒で研げばある程度回復します。
それでも戻らないと感じたら、研ぎ石(1000番程度)での研ぎもおすすめ。
※2023/5/5追記:
耐水ペーパー(600番)で磨いた後に青棒で仕上げるだけで切れ味が良くなることが分かりました!
研ぎ石を用意する手間も少なく、意外とおすすめかもしれません。
ウッドスリッカー
今使っているウッドスリッカーは溝の部分が少し使いにくいため、私は溝のない平らな部分だけを使って磨いています。
特に曲平面部分の直線磨きに適していて、とても使いやすいです。


最近気になっているのが「桜丸ウッドスリッカー」。
平面にも曲面にも対応できそうで溝部分が丸くなっている点も魅力的。
すごく使いやすそうなんですよね。

もし使っている方がいらっしゃったら、使用感など教えていただけると嬉しいです!
コバ処理剤(CMC・トコプロ)
- CMC
磨き前の革の繊維を引き締める目的で使用しています。

個人的には気持ち水よりもコバが固く引き締まってくれてるかな?と思ってます。
- トコプロ(仕上げ用)
最終仕上げ時の艶出しに使用しています。
CMCよりも色の発色が良くなるように感じるので、私は最後のステップでトコプロを使うことが多いです。

塗布用ツールの工夫
以前は100均の習字用筆を使っていましたが、最近は「スポンジヘッドボトル」が便利すぎる!と気づきました。
中にCMCやトコプロを入れておくだけで、さっと塗布できるのが本当に楽。

これ専用のレザークラフト用品が安価であったら売れそうなのに見かけないですよね•••あるのかな?私が知らないだけかもですが。
ご存知の方お見えでしたらご連絡お待ちしております!
デメリットは革で擦れてスポンジが痛みやすいこと。
画像ではバスコの容器を使用してますが、なかなか売っているところがないので•••
代用品がこちら。

使用する際はスポンジヘッドの替えの準備は必須です。

この青いスポンジヘッドの難点は少し力を加えてヘッドの中心部分の突起を押さないと内容物が出てこないこと。
トコプロなど、少し粘度のある液体でも問題なく使用できています。
コバ磨き用クロス(帆布)

私は使わなくなった柔らかい布の端切れを使っていますが、専用の帆布クロスを使うと磨き効率がグッと上がります。
なぜなら…
• 帆布は使えば使うほど液がしみこんで“育つ”
• 「育った帆布」は滑りが良くなって、スムーズに磨き作業ができるようになる
つまり、帆布を育てるのもまたレザークラフトの楽しみの一つかもしれません。
おすすめの道具に関してはこちらもどうぞ!
コバ磨きのやり方|工程ごとの手順とポイント
1. CMCで繊維を固める
縫製が終わったら黒豆カンナでコバ表面を平らにならしておきます。
※私はカンナは、2枚以上の革を貼り合わせた場合にのみ使用しています。
1枚革や貼り合わせ後に裁断する場合などで、コバ表面に凸凹がない場合は省略してもOKです。

コバ表面を整えたら、CMC溶液を塗布して繊維を固めていきます。

塗布には先述の「スポンジヘッドボトル」がとても便利。
塗りやすく、液の無駄も減ります。

塗布後、吸水性のある布で余分な水分を軽く拭き取りましょう。
※育った帆布は吸水性が弱くなるので、その場合はタオル地の布などを別に用意しておくと良いです。
※2025年3月22日追記
最近は吸水性のある布ではなく、化学実験でよく使っていた「キムワイプ」を愛用してます。

2. スリッカーで磨く
余分な水分を取ったら、ウッドスリッカーで磨き作業に入ります。

ウッドスリッカーで磨いていくと•••

かなり光沢が出て、表面も硬く仕上がります。

この仕上がりは革の性質に大きく影響されるので全ての革で、この段階でここまで磨き上げられるわけではないかもしれません。
冒頭にも記述しましたが、「タンニン鞣しのヌメ革」が革の繊維が密に詰まっていてコバの磨きもうまく決まると思います。
3. ヘリを落とす
CMCでコバが固まったら次にヘリを落としていきます。
ヘリがしっかり固まっていると刃もスムーズに入りやすくなります。
※水分が多すぎると刃が滑らないことがあるので、少し乾燥させてからの作業がおすすめです。
もしヘリ落としの切れ味が鈍いと感じたら、青棒で軽く磨いて刃を整えると復活します。

ヘリを落とし終わった状態がこちら。

4. 240番ヤスリで整える
ヘリ落としで面取りした部分を、240番のヤスリで滑らかなカーブに整えていきます。

満遍なく削れたら、再度CMCを塗布し、コバ表面を固め直します。
→ 液がつきすぎた場合は、吸水性の高い布で軽く拭き取ってください。

その後、帆布でしっかり磨き上げます。

この段階では、まだ表面が少し荒いですが、すでに光沢のある曲面が現れてくると思います。

5. 400番ヤスリで仕上げる
仕上げに、400番の紙やすりでさらに磨きをかけていきます。

6. トコプロと帆布で艶出し
磨き終えたらトコプロを塗布し、CMC使用時と同様に帆布で丁寧に艶出しを行います。

これでコバ磨きの基本工程は完了です。

完成と仕上げのアレンジ
仕上がったコバがこちら。

さらに光沢を出したいときは?(ロウや重ね磨き)
もしさらに艶を出したい場合は、400番で“重ね磨き”を行うのもおすすめ。
また、ロウを刷り込んで磨くとかなり強い光沢が出ます。
※ただし「磨きだけで仕上げる」をポリシーにされている方は必要に応じて選んでください。

まとめ|自分なりの磨き方を見つけよう
今回は私が普段行っている「染色・塗装なしのコバ磨き」方法をご紹介しました。
繰り返しになりますが、コバ磨きの方法は人それぞれで、使用する革の種類によっても大きく異なります。
その中の一例として、今回の方法が「ヌメ革の磨き方」に悩んでいる方や、これから始めたい方のヒントになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
あなたのコバ磨きのこだわりや、おすすめの道具があればぜひコメントで教えてください!
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